「警視庁」「警察庁」「公安」。
ニュースやドラマで頻繁に耳にするこれらの言葉ですが、それぞれ具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、警視庁・警察庁・公安の役割や仕事内容、またそれぞれの立場や目指し方について詳しく解説します。
警察官を目指している方は、この機会に正確な知識を深め、将来へのモチベーションを高めてみてください!
警視庁とは
警視庁は、東京都を管轄する地方警察機関で、都内の警察行政を担当しています。
他の都道府県には大阪府警や北海道警といった警察機関がありますが、東京都の警察は特別に「警視庁」と呼ばれています。「庁」とついていますが、職員は地方公務員であり、国の省庁ではありません。
なお、警視庁は2024年に創立150周年を迎え、その長い歴史とともに首都の治安維持を担ってきました。
警視庁の役割
警視庁の主な業務は、東京都内の安全を守るための幅広い警察業務です。また、首都ならではの特別な任務も数多く含まれます。
警視庁が担う特別な業務
- 天皇陛下や皇族、国内外の要人の警護
- 国際的なテロやサイバー攻撃への対応
- サミットなど大規模な国際会議の警備(派遣業務)
これらに加え、犯罪捜査、交通管理、地域のパトロール、事故や災害時の救助活動など、基本的な警察業務も行っています。
警視庁は、東京都民の日常を守るだけでなく、要人警護や国際的な安全対策を通じて、日本全体の防衛の一翼を担う重要な機関と言えるでしょう。
警視庁で働くには
警視庁の職員になるためには、採用試験に合格する必要があります。募集職種は大きく分けて、直接的な治安維持に携わる「警察官」と、警察官を支援する業務や事務を担当する「警察行政職員」の2つがあります。
試験の種類
職種ごとの試験分類は以下の通りです。
警察官採用試験
- Ⅰ類(大学卒業程度)
- Ⅲ類(高校卒業程度)
警察行政職員採用試験
- Ⅰ類(事務・技術・専門職)
例:事務、土木、建築、心理、通訳(タイ語・スペイン語など)、鑑識技術 - Ⅱ類(保健師など)
- Ⅲ類(事務・電気など)
- 技能系(自動車整備、印刷製本など)
- 障害者対象枠
試験内容
採用試験は大きく2段階で行われます。
警察官採用試験(Ⅰ類・Ⅲ類共通)
- 第1次試験
教養試験、論文試験、国語試験、適性検査 - 第2次試験
面接試験、身体検査、体力検査
警察行政職員採用試験
- 第1次試験
教養試験、専門試験、作文試験または論文試験(職種による) - 第2次試験
面接試験(一般・専門)、身体検査、適性検査
採用後の流れ
試験に合格すると、全員が「警察学校」での研修を受けます。ここでは、座学や実技訓練を通じて、警察官・警察行政職員として必要な知識と技能を身につけます。
卒業後、警察官は地域課に配属され、都内の警察署で業務を開始します。一方、警察行政職員はそれぞれの業務内容に応じた課に配属され、専門分野の仕事を担当することになります。
警視庁の職員として働くためには、試験対策や研修への準備が重要です。それぞれの職種の特性を理解し、自分に合ったキャリアを目指しましょう。
公安について
「公安」という言葉は、複数の組織に関連しています。内閣府に設置されている「国家公安委員会」、法務省管轄の「公安調査庁」、そして警察内部の一部門である「公安警察」などがその例です。警視庁では公安警察が「公安部」として独立した部門を形成しています。
この記事では、この中でも「公安警察」の役割や特徴に焦点を当てて解説します。
公安警察とは
公安警察は、国家の安全を守るために活動する部門で、その業務の多くが秘密裏に進められます。所属や名前を他部門の警察官にも明かさない場合があり、予算の詳細も公開されないという徹底した秘密主義が特徴です。
仕事内容
公安警察の主な任務は、国家の安全を脅かす脅威を未然に防ぐことです。具体的には以下のような活動を行います:
- 国内活動の監視
右翼や宗教団体、学生運動、左翼の過激派などの動向を調査し、情報を収集します。 - スパイ活動の対策
国外の情報機関やスパイの動きを監視し、国家機密が漏洩しないよう防止します。
その性質上、公安警察の活動には盗撮や盗聴といった行為も含まれるとされています。こうした業務内容から、公安警察自身がまるでスパイのような手法を用いることが特徴的です。
公安警察として働くには
公安警察に所属するには、まず一般的な警察官採用試験や国家公務員試験に合格し、警察官としてのキャリアを積む必要があります。特別な選考プロセスがあるわけではありませんが、その業務の性質から、配属されるのは優秀な警察官に限られると言われています。
公安警察で働くことは、極めて高度な専門性と責任を伴うため、警察内部でもエリートのみが担える役割とされています。
公安警察は、国家の安全を守る重要な任務を担い、日常生活では知ることのできない影の部分で活動しています。その特殊な業務に興味を持つ方は、警察官としてのキャリアを目指す中で公安についてさらに学んでみるとよいでしょう。
警視庁と警察庁の関係性は?
警視庁は東京都を管轄する地方警察機関で、警察庁は全国を統括する国の警察行政機関です。このため、組織の立場としては警察庁が上位に位置します。
日本の警察組織を見渡すと、警察庁長官が警察全体のトップとされており、地方警察の最高位である警視総監よりも格上となります。
また、公安警察は都道府県警察の一部門に属しているため、役割の範囲や指揮系統においても警察庁が上位の立場にあります。こうした関係を簡単に表すと、警察庁 > 警視庁 ≧ 公安警察 という序列になります。
まとめ
警視庁、警察庁、そして公安警察は、それぞれ異なる役割と立場を持ちながら、日本の安全と秩序を守るために密接に連携しています。
- 警視庁は東京都の治安を担い、首都ならではの特殊な任務を遂行する地方警察機関。
- 警察庁は全国を統括し、各都道府県警察の指導や調整を行う国の機関。
- 公安警察は、国家の安全を守るために影ながら活動する、特別な任務を担う部門。
これらの組織は、日本の治安維持や国防において重要な役割を果たしています。それぞれの違いを理解することで、警察組織の全体像やその重要性をより深く知ることができたのではないでしょうか。
警察官を目指す方は、どの機関や職種が自分に適しているかを考え、目標を明確にすることが大切です。警察組織の一員として、治安維持や社会貢献に携わる未来を実現するための第一歩を踏み出してみてください!
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