Amazonプライム・ビデオ(以下アマプラ)を日常的に利用している方なら、一度はこう感じたことがあるのではないでしょうか。
「再生スピードを変えられたらもっと便利なのに…」
他の動画配信サービス、たとえばYouTubeやNetflixでは、1.25倍や1.5倍といった速度調整機能が当たり前のように搭載されています。情報系コンテンツやドキュメンタリーを効率的に視聴したいとき、またはお気に入りのシーンをスローで確認したいときなど、この機能は非常に重宝します。
ところがアマプラでは、この再生速度の調整機能が公式には提供されていません。プレイヤー画面を探しても、速度を変えるボタンは見当たらず、初めて気づいた人は意外に感じるでしょう。
倍速再生が標準搭載されない理由
アマプラで倍速機能がない背景には、複数の事情が関係していると考えられます。
まず大きいのは著作権や作品の演出意図への配慮です。
映画やドラマ、アニメなどの映像作品は、音楽やセリフの間、シーンのテンポなどが綿密に計算されて制作されています。速度を変えてしまうと、その世界観や表現が損なわれる可能性があります。コンテンツ提供元の中には、こうした理由で速度変更を認めたくないという意向を持つケースも少なくありません。
加えて、ビジネス上の戦略も考えられます。
作品をじっくり視聴してもらうことで続編や関連商品の購入につなげる狙いがある場合、短時間で消化されてしまう倍速視聴は好まれない可能性があります。
ユーザーからの要望は届いているのか
アマプラ公式フォーラムやSNSでは、「倍速再生を実装してほしい」という要望が繰り返し投稿されています。Amazon側も「ご意見は担当部署に共有します」といった返答をしているものの、現時点で公式機能として追加される見通しは不明です。
ただし、アマプラにはフィードバック機能があり、Web版なら作品ページの「フィードバックを送信」から、アプリなら「設定」→「お問い合わせ」→「フィードバックを送信」と進めば意見を届けられます。ユーザーの声が蓄積されれば、将来的な改善につながる可能性はあります。
以前は使えた拡張機能が今は制限されている?
倍速再生が公式にないため、PC利用者の間ではGoogle Chromeの拡張機能「Video Speed Controller(VSC)」がよく利用されてきました。これを使えば、キーボード操作だけでアマプラを含むさまざまな動画の再生速度を自由に変更できます。
ところが最近、このVSCがアマプラで正常に動作しない事例が増えています。
具体的には「音声は流れるのに映像が真っ黒になる」という症状が報告されており、原因は拡張機能の速度コントローラー表示がアマプラのプレイヤーと干渉しているためと考えられます。
一時的な解決方法
すぐ視聴を再開したい場合は、VSCのコントローラー表示を一時的にオフにすると改善することがあります。
- 再生画面右上にある速度表示枠を探す
- 枠内右上の「×」をクリックして非表示化
ただし作品を切り替えるたびに同じ操作が必要になるため、手間に感じる場合もあります。
恒久的な設定変更で安定再生
より確実な方法として、VSCのオプション設定でデフォルト非表示にする手があります。
- Chrome右上の拡張機能アイコンからVSCの「オプション」を開く
- 「Hide controller by default」にチェックを入れ保存
これにより常にコントローラーが非表示となり、干渉による映像不具合が起こらなくなります。
表示を消しても倍速操作は可能
コントローラーを非表示にしても、ショートカットキーで速度変更できます。
- Dキー:0.1倍ずつ速度アップ
- Sキー:0.1倍ずつ速度ダウン
- Xキー:10秒スキップ
- Zキー:10秒巻き戻し
画面左上に一瞬だけ現在の速度が表示されるので、設定状況も把握できます。
まとめ
アマプラで倍速再生が使えないのは、著作権保護や作品演出の保持、ビジネス戦略など複数の要因が絡んでいると考えられます。公式機能として実装される見込みは現状不透明ですが、PC環境なら拡張機能を調整することで今でも速度変更は可能です。
もし「もっと効率よく視聴したい」と感じるなら、今回紹介した方法を試してみると良いでしょう。
視聴スタイルに合った再生方法を見つければ、アマプラの楽しみ方はさらに広がります。
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