「言う」(いう)と聞いて、ひらがな表記に「ゆう」と書く人もいるかもしれません。では、これは正しいのでしょうか?この疑問について、日本語の表記と発音の関係を解説してみましょう。
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「言う」を「ゆう」と書く人は嫌い、気持ち悪い、頭悪いという人も
「言う ゆう」と検索すると、以下のように「嫌い」「頭悪い」などといったキーワードが一緒に出てきます。これは実際にそのように思っている人が一定数いるということでしょう。
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日本語には表記と発音が異なることばがある
日本語には表記と発音が異なる言葉があります。このことについて、まず以下に記載します。
現代仮名遣いの原則
日本語の仮名遣いは、「現代仮名遣い」に基づいています。昭和61年7月1日に内閣訓令・告示された現代仮名遣いは、原則として現代語の音韻に基づいて文字を表記するものです。しかし、その中には発音と表記が一致しない例も存在します。
言う(いう)の仮名遣い
「言う」(いう)の場合、終止形や連体形のひらがな表記は「いう」ですが、発音は[ユー]です。これに疑問符を抱く人もいるでしょう。なぜ[ユー]と発音されるのに、「ゆう」と表記されるのでしょうか?
母音融合の現象
この疑問の答えは、母音融合と呼ばれる言語現象にあります。母音融合は、連続する母音が一つの音にまとまる現象を指します。例えば、「きゅうり」が[キウリ]と発音され、連続する「iu」が[ju:](ユー)に変わり、標準的には[キューリ]と発音されるようになったのもこの現象の一例です。
言うの発音と表記
「言う」も同様に、「い」(iu)という部分が母音融合によって[ユー](ユー)と発音されるわけです。しかし、表記はそのまま「いう」が使われています。これは「言う」の活用の語幹をそろえるためであり、[ユー]と発音されても表記通り「いう」と書かれるのです。
「言う」の他の活用形について
「言う」の活用形も考慮すると、[ユー](ユー)の他に[イワナイ](いわない)、[イイマス](いいます)、[ユートキ](ゆうとき)、[イエバ](いえば)、[イエ](いえ)などがあります。これらも標準的な発音とは言えませんが、表記通りに使われています。
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「ゆう」という表記の正当性について考察
日本語の表記法は、長い歴史と多様な文化的要因によって形成されています。その中で、「ゆう」という表記が「言う」の一部の音を表す正当な形式であるかについては、いくつかの観点から考察することができます。
基本的には「言う」は「いう」と書くのが正しい
基本的には、やはり「言う」は「いう」と書くのが正しいと考えます。すでにお伝えした通り、「ゆう」というのはあくまで発音するときのことだからです。
ネット上の気軽な文章では許容してもよいのでは?
とはいえ、言語は時間とともに変化するものです。以前は誤った言葉遣いも、時代の変化とともに正しいものとして市民権を得ることはよくあることです。
そう考えるSNSなどネット上での気楽・気軽な文章では、いちいち「言う」を「ゆう」と書くことに対して目くじらを立てることなく許容して楽しんでいけばよいのではと思います。
ですが、大切なのは本来は「言う」を「ゆう」とするのはあくまで発音の話であり、表記としては「いう」が正しいということを理解した上で、あえて「ゆう」と書くということなのではないかと思います。